アレルギー治療の転換点となる「舌下免疫療法」
鳥居薬品株式会社が厚生労働省の製造販売の承認を得た舌下免疫療法薬の「シダトレン」は今後のアレルギー治療の概念を変える可能性があります。
これまでの主な治療法は、アレルギーの原因になっている抗原(アレルゲン)を避けることで、症状を緩和する方法でした。
花粉症の免疫療法としては、既に治療承認を得ている注射による減感作療法があります。
この減感作療法は、約3年間、定期的に継続して通院し、苦痛を感じる注射を受けなければならない点や副作用が強い事など問題点があり、花粉症の免疫療法としては殆ど普及していません。
食物アレルギーの最新治療である「経口免疫療法」は、2006年に入院での治療に健康保険の適用となり、2008年には外来でも保険が適用になり治療が承認された時は大変画期的でした。
従来の治療法の常識を覆す免疫療法は、アレルギーの原因になっているアレルゲンを体に取り入れて治す、云わば「毒には毒をもって制す」荒療治です。
それだけに、処方を間違えれば、命に関わるほどの重篤な副作用を引き起こすリスクと背中合わせの治療でもあります。
食物アレルギーの「経口免疫療法」は、目を見張る効果がある一方で、多くの副作用の例も報告されているようです。
日本小児アレルギー学会は「現時点では一般診療として推奨しない」との見解を発表しています。
スギ花粉「舌下免疫療法」も作用機序は注射による減感作療法と同じで、アレルゲンであるスギ花粉のエキスを医師の管理下で服用し体を慣らす治療法です。
舌下免疫療法の服用方法
鳥居薬品の舌下液「シダトレン」体を舌の下に滴下し2分間、維持した後に飲み込みます。
その後、5分間はうがいや飲食は控える事とされています。
この用法で1日1回、約2年以上継続します。
治療を開始して2週間は舌下液を少しずつ増やし、3週目以降は同量の服用を続けます。
舌下免疫療法薬を処方する場合、所定の講習会を受講して、確認テストを受け処方資格を取得し、登録医師になる必要があります。
日本アレルギー学会の舌下免疫療法 資格講習会
講習会プログラム
「舌下免疫療法の実際と対応」
1.舌下免疫療法のためのアレルギー性鼻炎の正しい診断法
2.舌下免疫療法の実際
3.舌下免疫療法の薬物副作用対策(アナフィラキシー症状など)
臨床研究には限界があって、全てのケースを確認している訳ではありません。
口腔粘膜の違和感や痒みや嘔気など軽度の副作用も1割弱ほどでているようです。
例えば、注射による減感作療法を行っていた患者が、舌下免疫療法に切り替える方法などは、まだ確立されていないようです。
また、約2割は治療効果がなく、症状が改善しないようですが、症状の原因はスギ花粉アレルギーではなく、他の原因を調べる必要が出てきます。
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