舌下免疫療法のメリットとデメリット、完治するコツ
舌下免疫療法は、ヨーロッパでは、既に60年以上も前から取り入れられ、今ではアレルギー治療の50%以上を占めた主流の治療法として普及し、健康保険も適用されています。
一方、医療の最先進国であるアメリカでは、まだ健康保険の適用となっていないためか、余り普及していません。
日本では、初めて健康保険の適用となり、スギ花粉症の治療として、一気に普及する可能性もあります。
舌下薬を注射で体内に入れる減感作療法は強い副作用がある
これまでの花粉症免疫療法は、減感作療法と呼ばれる花粉症のもとになるエキスを注射することで体を慣らす治療法でした。
この治療法は、長期間にわたり、1週間に2度は通院して、注射をしなければならない煩わしさがありました。
また、治療の途中で体調を崩して治療が出来なかった場合は、治療を一旦中止して、最初からやり直しとなる治療法でした。
注射による減感作療法は、副作用が強く、アナフィラキシー症候群を発症する危険もありました。
今回の舌下免疫療法は、副作用は少ないものの、当然ながら、全てに万能ではありません。
メリットとデメリットをあげてみました。
舌下免疫療法、治療のメリット
1、定期的に薬をもらうために病院に通うだけで自宅で治療が出来る
2、減感作療法のような注射による痛みや煩わしさがない、アレルギー反応も少ない
3、健康保険が適用となり治療負担が軽減される
4、完治3割を含め改善が約8割で治療効果が高い
5、長期間、病院に通えなくても薬を持ち運べば治療が継続出来る。
(但し、健康保険の適用から1年間は、薬の処方は最長で2週間まで)
6、花粉症のシーズンを見越した短期間の治療も可能である
7、少々体調が悪く熱があっても治療の継続が可能である
8、現在、12歳未満の治療は不可になっているが、臨床研究を経て認可になれば、子どもにも手軽に治療を受けさせられる。
子どもの時に花粉症を発症すると、年々重症化する傾向にあるため、早い段階で治療が出来るようになれば、大人より治療メリットが格段に大きいと言える。
日本の将来を担う子ども達に、少しでも早く舌下免疫療法を受けさせたいと願ってます。
舌下免疫療法、治療のデメリット
治療が長期間に及ぶ。つまり舌下免疫療法は、これまでの薬のような対処効果でなく、完治を視野に入れた体質を変える治療であるため、治療を長期間続ける必要があり、毎日薬を飲む必要がある。
また、医師が患者に対して舌下免疫療法の治療をする場合、所定の講習会と試験を受けた後、登録しなければならない。
よって、健康保険の適用当初は治療が出来る病院が少なく、病院探しに手間がかかる可能性がある。
治療を長続させて完治するコツ
舌下免疫療法の治療期間は体質を改善する治療であり、少なくとも2年以上を要します。
この治療は、アレルゲンになっているスギ花粉に対する免疫作用の働き方を変える事であり、とりもなおさず体質を変えることにつながります。
ですから、短期間で効果が得られる治療ではありません。
春先の約3か月、花粉症の症状に悩まされているスギ花粉症の方が治療の対象となります。
花粉症の症状が出ない残り約7か月間も毎日、舌下免疫療法を続けなければなりません。
そして最低でも2年から3年間も継続する必要があります。
治療を長続きさせるモチベーションをどうやって維持するかが課題になりそうです。
臨床研究の期間2年間でも、患者の約半数が治療途中で脱落していることからも継続の難しさが伺えます。
脱落の原因として春のスギ花粉の飛散が終了して花粉症の症状が軽減し満足して止めるケース、ゴールデンウイーク終了後から通院しなくなるケース、夏休みの期間に投与を休んでしまうケースなどがあります。
舌下免疫療法の効果を感じている人は継続率が高いという結果がでています。
命に関わる病気であれば、必死になりますが、
「喉元過ぎれば熱さ忘れる」と云われる様に人は自己防衛のため苦しかった事は忘れるようなっています。
このことは、治療の継続にはマイナスに働きます。
でも、人間は賢いので、治療継続のモチベーションを保つための意識づけを色々と考えるのではないでしょうか。
花粉症を治したいと強く思う気持ちをキープ出来るか否かが、治療の継続に大きく関係します。
この事から、
1、辛い花粉症の体験を心に刻み込む
花粉症の症状で、辛い思いや経験を箇条書きにしておき、ときどき読み返し、思い出し、モチベーションを維持させる。
2、花粉症のジーンズに症状から解放されて快適に過ごしている自分を想像する。
花粉症が完治して、花粉症のシーズンに仕事や遊びを快適に楽しんでいる自分を具体的に想像する。
3、一生、通院費や薬代、対策グッズなどの費用がかかる事を考えてみる。
病院へ通院し、処方薬や市販薬を購入し、対策グッズを購入する出費を計算してみること、またこの出費が毎年、続くことを考える。
4、2年間の治療を始めたことを公言し、周りの人にサポートしてもらう。
周りから応援されると、人は頑張ろうと思う。途中で挫折するのは、周囲を裏切ることになると思い、責任感も生まれる。
このような、方法や考え方で治療に望んでみてはいかがでしょうか。治療を始める時の疑問点は担当医に遠慮なく話しましょう。
舌下免疫療法を行える医師は、事前に講習会を受講しており、患者さんに如何に治療を継続してもらうかを考えています。
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