花粉症の起源と日本特有のスギ花粉

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スギ花粉症は日本特有

 

世界を見渡しても、日本のスギ花粉症は特殊です。

 

ヨーロッパでは、牧草を刈り取ってサイロに入れる作業員の間で、鼻水や鼻づまり、目のかゆみ、微熱などが続く症状が相次ぎ「枯れ草熱」と呼ばれていました。

 

日本の明治維新の頃、イギリスでは、医師が植物の花粉が原因のアレルギー症状であることを突き止め、雑草による花粉症と命名されました。

 

このようにヨーロッパなどの諸外国では主に雑草などの植物の花粉がアレルゲンで、現在でも別称で枯れ草と云われています。

 

 

日本国土の1割を超える面積をスギの森林が占める

 

日本の花粉症患者は3000万人とも云われていますが、その大半はスギ花粉症です。

 

諸外国には殆どないスギ花粉症の患者が大半ですが、その原因は戦後の経済成長に伴って、住宅建設の需要が急増したため、大規模なスギの植林が行われました。

 

2012年3月末時点で、日本国土の1割を超える面450万ヘクタールがスギの森林で占められています。

 

スギは、樹齢30年程度で花粉を飛散するようになります。

 

現在、1960年頃以降に植林され、樹齢30年を超えるスギが全体の90%になり、年々増えていることがスギ花粉の飛散量が増加している原因にもなっています。

 

但し、北海道と沖縄はスギの植林が行われなかったので、スギ花粉の飛散がなく花粉症患者は少なく、植林が多かった関東や甲信越に患者が多い傾向にあります。

 

 

スギの成長は2050年位まで続き、その後ピークアウト

 

最近では、安価な輸入材に押され伐採が進んでいません。また鉄筋コンクリートなどの建設資材に押されて、伐採の規模は年々縮小しています。

 

林野庁では、花粉がほとんど飛散しないスギを開発し、植林が始まっていますが、一気に変えることは不可能で苗木全体の一割程度にとどまっています。今後、この割合を増やしていく計画です。

 

遺伝子組み換え技術により、花粉を飛散しないスギの開発に成功していますが、生態系に与える影響などを検証する必要があるため植林されるまでには、更に時間がかかるようです

 

スギの植林は既に中止されていますが、専門家の研究によれば、スギの成長は2050年位まで続き、花粉の飛散もその頃からピークアウトすると推測しています。

 

2050年頃までは、花粉の飛散が増える傾向にあることになります。
更に2100年頃になるとスギが無くなり、スギ花粉の飛散も無くなるようです。

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