スギ花粉症大国といわれる日本、現在日本の国土に植えられているスギの木は約112億本といわれています。
スギの木が多い原因は、戦後の経済復興の過程で住宅建設需要を見込んで多くのスギの苗木が植えられました。
しかし、その後輸入材の価格が下落したため伐採が進まず現在に至っています。
価格の低下に歯止めがかからず50年物のスギの木が、一本800円という廉価です。
増え続けるスギ花粉症に歯止めをかけるために、国や地方自治体は新たな対策をこうじるために研究を続けています。
「少花粉スギ」と国の森林総合研究所が取り組んでいるカビ菌「 シドウイア・ジャポニカ」をご紹介します。
少花粉スギの研究
特殊な栽培によって、一般的なスギの木の花粉量の1%程度しかない「少花粉スギ」が開発されています。
この花粉症対策の「少花粉スギ」は、植林が続いていますが、現在のところ、わずか250万本しか植林されていません。
全国のスギの木は約112億本も植えられていますので、このペースでは気が遠くなる話です。
黒点病に感染させて雄花を枯らす
国の森林総合研究所では、カビ菌を使って花粉を出さなくする研究が進められています。
自然界にあるカビ菌を使って雄花から花粉を出さなくする研究です。
取り組みのきっかけになったのが、スギの黒点病です。
この黒点病のもとになっている細菌を2年かけて突き止めした。
そのカビ菌は「 シドウイア・ジャポニカ」といいます。
カビ菌「 シドウイア・ジャポニカ」を含んだ溶液をスギの木に散布して雄花を枯らす方法ですが、水に培養する方法では雄花に付着する前に乾燥してカビ菌が死滅します。
そこで、カビ菌を含む液体の培養方法の研究がなされ3年かけて開発されました。
この液体をスギの木に散布すると、3ヶ月後には雄花が枯れて花粉が飛散しないのです。
スギの花粉は雄花から飛散します。
液体をかけると、雄花だけが枯れて真っ黒になり、花粉が出なくなります。
液体を散布することによって、カビ菌「 シドウイア・ジャポニカ」が開花前のスギの雄花のつぼみに付着して、つぼみの表面のウロコ状の「鱗片」の隙すき間から菌糸を伸ばします。
次に菌糸は、花粉が収納されている「花粉嚢」を破壊して中の養分を吸収します。
最後は、雄花が枯れて花粉の飛散が防げます。
これまでの実験では、8割の雄花にカビ菌「 シドウイア・ジャポニカ」が付着して花粉が出なくなっています。
実用化には課題も多い
カビ菌「 シドウイア・ジャポニカ」の実用化には、人体や自然環境に対する影響を調べる必要があります。
飛行機からスギ林全体にまんべんなく散布する方法がありますが、遠くへ飛散した場合の被害も考慮する必要があります。実用化は数年後と見られています。
環境への影響の確認
農薬として許可を得て登録する必要があり、様々な試験が必要です
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