スギ花粉の飛散量を予想の仕方
世界の三大花粉症の一つであるスギ花粉症は、日本ならではの特有の花粉症です。
世界的には、背丈の低いブタクサやイネ科等の雑草類が中心です。
北欧やカナダ等の一部の地域に生息するシラカバなどのカバノキ科の樹木の花粉症はありますが、世界全体からすれば、少ないものです。
なぜ日本でスギ花粉とヒノキ花粉が多いのでしょうか
日本は戦後の高度経済成長の過程で住宅建設需要の増加を見越して政策的に北海道や沖縄を除いた本州、四国、九州に沢山のスギを植林しました。
また、1960年にはわずかだったヒノキは、スギに代わって建設関係の木材として人気が高まったため植林が進み、1980年には3倍以上になりました。
ヒノキ花粉とスギ花粉はタンパク質構造が似ているため、スギ花粉にヒノキ花粉がプラスされてアレルギー反応が長く起きやすいと考えられています。
更に国内のスギの木を伐採するより、安価な輸入木材が普及したため、スギの木が伐採されずに増え続けました。
以上がスギ花粉が多い原因です。
今後もスギ花粉の飛散量は増え続ける
1970年頃からスギ花粉の飛散が確認されて以来、飛散量は年々増加傾向にあります。
76年、79年、82年と数年おきに大飛散がありました。
専門家によれば、2050年のピークまではスギ花粉の飛散量は増え続け、その後は減少傾向となり、2100年にはスギ花粉の飛散が無くなるそうです。
因みに各地の観測データによると、花粉の飛散量は10年前の約2.5倍以上に増えているとする調査データもあります。
気象条件が関与する
スギ花粉が成長する時期は夏場です。
6月から8月の夏場の気温が高く、日照時間が長い猛暑の年はスギの雄花が成長します。
更に、秋口に朝夕冷え込み、日中気温が高くなる残暑が厳しい年はスギの雄花が成長する気象条件です。
暑さが厳しい年は、様々なところで異常が観察されます。
残暑の厳しさは家畜にも異変が
例えば、家畜の場合ニワトリの卵の生産量が減ったり、乳牛の乳の量が減少するなどの異変が生じます。
このような事が起きた翌春は、花粉の飛散量が多い可能性があります。
数年に一度大飛散がある
スギ花粉の飛散が確認された1970年代以降、約3年に一度の間隔で大飛散が起こっています。
飛散量はスギの雄花の成長と相関性があり、雄花の成長が著しかった年の翌春は飛散量が多くなります。
2年続けて大飛散はないと考える理由
しかし、2014年の春先は、前年の夏の気温が高く、日照時間が長かった割には、花粉の飛散量が少なかったのです。
これは、2013年の春先に大量の花粉が飛散したため、2014年の春先は少なかった言って良いでしょう。
つまり、当年の花粉飛散量は前年の花粉飛散量と大きな相関関係があると言えます。
この相関関係は、気象条件をも凌ぐと云って良いと考えます。
過去にも、大よそ3年間隔で大飛散を繰り返しています。
以上のことから、大飛散の翌年は飛散量が少なく、2年続けて大飛散量になることは無いと言えます。
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