スギ花粉症 舌下免疫療法の改善率は約8割

 このエントリーをはてなブックマークに追加 

Tレグ細胞を増やすスギ花粉症治療米で短期完治

 

短期間でスギ花粉症が完治

 

平成26年10月から、スギ花粉症の治療の舌下免疫療法が健康保険されました。
 
薄い濃度のスギ花粉のエキスを体内に入れてスギ花粉に体を慣らしていく治療で完治も期待ができる画期的な治療です。
 
しかし、この治療の大きな欠点は治療期間が長い点で、2年から3年程度を要します。
 
そこで、現在開発中の治療が「スギ花粉症治療米」を食べて約3ヵ月の短期で完治が期待されています。

 

お米を食べるだけで花粉症を完治

 

スギ花粉症の患者向けに作られたスギ花粉症治療米を3ヵ月、毎日一回食べるだけで、花粉症の症状が劇的に改善する治療法です。
 
このスギ花粉症治療米を開発した東京慈恵会医科大学では、すでに2月からこの治療の臨床試験が開始し、その効果が明らかになってきました。
 
重度の花粉症であった中年の女性は、毎年マスクをして花見をしていたが、このスギ花粉症治療米の治験に参加して、わずか3ヵ月で、マスクを装着しないで快適に花見をすることができるほどの高い効果がでています。

 

 

Tレグ細胞(制御性T細胞)が増やす

 

このスギ花粉症治療米は、スギ花粉の抗原の構造を変えたペプチドを作製しペプチドの遺伝子をイネに取り入れお米に抗原を蓄える方法で育てて収穫します。
 
このペプチドは、体に害のない異物に対してアレルギー反応を抑えるTレグ細胞(制御性T細胞)といわれる細胞を増やす成分のみが含まれています。
 
このスギ花粉症治療米はスギ花粉症を引き起こす全ての抗原を含んでいるのが特徴で、幅広い多くのスギ花粉症の患者に対しての効果が期待されています。
 
スギ花粉の抗原が含まれたお米を食べることでアレルゲンであるスギ花粉に慣らしていく点では舌下免疫療法と似ています。
 
しかし、舌下免疫療法との大きな違いはお米に取り入れられた構造を変えたペプチドと呼ばれるたんぱく質を使ってアレルギー反応を抑えるTレグ細胞を増やす点です。
 
このペプチドは、スギ花粉の危険な成分を除去して作られ、胃で分解・消化されず腸まで到達して吸収されるのでアレルギー反応はほとんど起こさないと考えられています。
 
体内にTレグ細胞が増えれば、アレルギー反応が抑えられます。

 

スギ花粉症治療米の作用としくみ

 

体内に抗原の花粉が入り込むと、抗原の情報がヘルパーT細胞の免疫細胞に伝わります。
 
通常は免疫細胞がB細胞に働きかけてIgE抗体を作らせるように指示しますが、Tレグ細胞が介入することでB細胞の働きを抑えて花粉症の原因になるIgE抗体を作らせないように働きます。
 
体内でIgE抗体が作られなければ、花粉症のアレルギー反応は起きません。
 
実際に、このスギ花粉症治療米の治療が受けられるまでには、5年ほどかかりそうです。

 

腸内フローラとTレグ(制御性T細胞)の関連性

 

 

 

Tレグ細胞を増やしてアレルギーを予防改善

 

花粉症を発症するメカニズム

 

花粉症の患者が年々増えて今では、4人に1人の3000万人が花粉症とする調査データもあります。

 

花粉症を発症すると治らないのが常識になっています。
 
花粉症は、花粉飛散のシーズンに突然発症します。花粉症の発症メカニズムを知っておきましょう。

 

花粉症の症状が出るまでの流れ、「感作の成立」とは

 

Tレグ細胞 
「出典:NHKスペシャル」
 
@アレルゲン(抗原)である花粉が目や鼻などの粘膜に花粉が付着します。

 

ABリンパ球のマクロファージが花粉を異物であると認識するとともに情報を記憶します。

 

B次に、Bリンパ球は、花粉を攻撃対象としてIgEと呼ばれる抗体を作ります。

 

CIgE抗体は、肥満細胞と結合し、花粉が侵入する度に結合を繰り返します。

 

DIgE抗体と肥満細胞との結合体が増え続け、飽和状態になることを「感作が成立した」といいます。

 

?次にアレルゲンである花粉が侵入すると、「肥満細胞」に結合した「IgE抗体」がアレルゲンと結合し、「抗原抗体反応」を起こします。

 

この反応が刺激になり「肥満細胞」が活性化され、ヒスタミンなどの化学伝達物質が放出され、花粉症の症状を引き起こします。

 

以上ように、花粉症は或る日突然症状が出ますが、体の中では症状が出るまでに、着々と準備が進められています。

 

また、花粉症の発症には、個人差があり、花粉が飛散する同じ環境に住んでいても花粉症を発症する人としない人がいます。

 

最近の研究では、体内に花粉に対応する制御性T細胞(Tレグ細胞)が多い人は花粉症を発症しないことが明らかになりました。
 
この制御性T細胞(Tレグ細胞)は、体に害のない花粉などの物質に対する免疫細胞の攻撃をストップする働きをします。
 
制御性T細胞(Tレグ細胞)は、幼い時に花粉や細菌などアレルギーになる物質に触れることで腸でつくられることがわかっています。
 
制御性T細胞(Tレグ細胞)を増やす方法が、今後のアレルギー疾患を予防する観点からも治療の主流になると考えられています。